「運命の人」第一回 骨太な本木雅弘さん
沖縄返還、外交機密、スパイ、ジャーナリズム、そして男女関係のもつれがどうしたとか、
当時の私にはなんだかよくわからないまま、新聞記者が特ダネのために女性をスパイにした、
下劣な事件だという印象しか残っていないので、その別の面を期待していたドラマです。
しかし冒頭から、やつれた本木雅弘さんが沖縄の崖から身投げするという悲劇に驚いた。
一方で、新聞記者としてばりばりのやり手な本木さんは、骨太で押し出しの強いおじさんで、
ナイーブな感性の持ち主というイメージの本木さんとは違って、好きになれない人だった。
最初、本木さんにわざと機密文書を見せた石橋凌さん、あの行動の意図がいまだわからない。
そして、どうやら本木さんに惹かれたらしく、機密文書のコピーを渡す真木よう子さん。
その妖しい雰囲気と言ったら、「諸国大名は弓矢で殺す、真木よう子は目で殺す」っていう。
記者としてのどから手が出るほど欲しい情報を、あんな妖艶な女性が渡してくれたらもう、
仕事と情事が一度に手に入るという誘惑に、どんな男もあらがえないというものです。
それにしても、国家を敵に回しかねない大胆な行動には、いったいどんな動機があるのか。
何かにうっ屈している人が、はからずも大きな力を握った時、復讐したい衝動にかられるのか。
一方、もし情報欲しさに、本木さんが真木さんを籠絡したのなら、本木さんがワルすぎて、
目的のためなら手段を選ばない悪の権化になってしまい、正義の味方=記者でなくなる。
ドラマとしては、本木さんは善玉という筋立ての方が、話が通るという事なのかも。
政治やジャーナリズムの硬派な世界に、色恋が混じりこむこのドラマ、次回に期待したいです。
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